FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鬼に訊け

先日、川越スカラ座で『鬼に訊け-宮大工 西岡常一の遺言-』というドキュメンタリー映画を見てきました。
まず、このドキュメンタリー映画の公式サイトがこちら。
そして、宮大工 西岡常一についてはこちら

「最後の宮大工」と呼ばれた西岡棟梁の事は以前から知っていて、そのものの考え方や仕事の取り組み方から考えさせられる事が沢山あり、大ファンでした。まず、世界最古の木造建築として知られる法隆寺は1300年という時間を経って、ようやく改修が行われました。これは、檜と言う日本の風土にあった材料を飛鳥時代の人が知恵を搾って作り上げたものな訳ですが、単純に1300年間建っているというだけでもの凄い訳です。現在は高層ビルやすごい建物は沢山建っていますが、果たして1300年間建っていられるのでしょうか?コンクリートの寿命は長くて200年と言われています。

 物が有限である、という事は非常に重要な事で、ガソリンやプラスチックなどになる原油も有限な訳で、以前から問題にはなっています。資源を大切に、ってやつです。自分の手でコツコツ物を作っていると、どうしても資源や材料の事はよく考えます。無駄にしない様にと言う事は勿論、屑も取っておいてリサイクルに出したり鋳物の材料にしたりします。道具もそうで、安い道具を使い捨てる事に抵抗を感じますし、一生使える道具を持ちたいと思います。
 
 西岡棟梁が復元した道具に、槍鉋というものがあります。室町時代に入ってきた、今で普通に鉋といってイメージされる鉋の前に使われていた槍の様な形をした鉋です。飛鳥時代に建てられた建物を、その当時の道具で直すというのはなんとも粋な考えだと思いました。復元、修復の本随を見た気分でした。形が出来ればそれでよい、という事ではないのですね。

 西岡棟梁は、薬師寺の修復の時に檜で全てやりたかったそうなのですが建築研究者からコンクリートを使う事を命じられ、反抗しましたが中にある国宝を守る必要があるとか様々な理由からそれを使う事を余儀なくされました。建物の檜がたとえ1000年もっても、中のコンクリートが200年足らずでダメになる。
 薬師寺の西塔を建立する際に、そこだけは檜だけでやりたい様にやったそうです。お気持ちは、さぞ複雑だった事と推測します。

 水洗便所ですら否定する西岡棟梁ですが、時代の変化とともに考え方を変えた点がありました。
 1つは電動工具。西岡棟梁曰く、電動工具は木を切っているのではなく、ちぎっていて切り屑を雨にさらすとすぐにカビが生えるそうでよろしくない。が、時間の短縮と金銭的な関係で荒削りには電動工具を使い、仕上げに上記の槍鉋を使っている、と言ってました。
 また、コンクリートもそうですが自分の考えが時代の流れに合わなくなってきている、という事を感じ棟梁を辞そうとしたりします。

 私は、この「自分の考えが時代の流れに合わなくなってきてる」というのが非常に印象的でした。

 自分の理想とする事が合わない、求められていない。これは宮大工だけの話ではなく、同じ問題を多くの人が抱えていると思います。伝統的な超絶技法よりも「お手軽」な物が必要とされたり、途絶えても何も言えないものを無理矢理に伝統や文化という言葉で価値を付けようとしていたり。まあ、非常に難しいところだとは思います。
 自分が、どうやっていくのか。それを問われる時が必ずあると思います。その辺に鈍感になって行くと大工だろうが工芸家だろうがデザイナーだろうが、資源を使ってゴミを作るだけ、という状況になってしまう。
 
 鬼に訊け、非常にオススメです。

Trackback

Trackback URL
http://koheiyoshida.blog.fc2.com/tb.php/8-d38da99d

Comment

Comment Form
公開設定

プロフィール

Kohei Yoshida

Author:Kohei Yoshida
金属工芸家
http://koheiyoshida.com/

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
最新コメント
最新トラックバック
リンク
このブログをリンクに追加する
検索フォーム
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。