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鍛金の実際

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鍛金の実際、という本です。

金工の技法書は多くありますが鍛金について詳しく書かれている本は日本の物ですと今は恐らくこれしかないかと思います。
もう40年ちかく前の本なのですが、当時の東京藝術大学の鍛金研究室の教授だった山下恒雄先生を中心に書かれてます。石川先生は数年前まで高知大学の教授でしたし、安藤先生は多摩美術大学の客員教授をなさっています。

写真が白黒で見難かったりもするのですが金鎚を始め当て金などの鍛金の道具の説明、作り方から基本的な絞りの説明、そして変形絞りについてまで書かれています。

この本が書かれた頃に比べると、溶接が格段に発展していたりするので造形に対するアプローチが全く違ったりする事もあるのですが、基本的な絞りについては分り易いです。とは言え、当て金の使い方などは読むだけでは理解するのはなかなか難しく、実際にやってみても上手く行かず、何回かやってみつつこの本を読むと少しずつ、なんとなく分って来る感じです。絞ってる途中での地金の延ばし方など、とても参考になります。

私が学生の時に既に絶版になっていて、当時は研究室にあったこの本を全ページコピーしました。もう手に入らないと思っていたのですが、数年前に一回再版された時期があり、その時に購入しました。
ですが、今はまた絶版で書店には並んでいません。Amazonで中古が出てますが、プレミアがついて非常に高額になってます。一時期は15000円くらいしてました。
図書館によってはこの本が置いてあったりもするそうです。杉並の図書館には以前あったと聞いた事があります。

鍛金をちょっとやってみたい、という人からベテランまでオススメの1冊です。

金工教室 マグカップ制作

お問い合わせの多い鍛金での銅製マグカップ制作体験に参加された方のご紹介です。
制作中の写真はないのですが、完成したものの写真を送っていただきました。

1枚の板から叩いて制作する、2日で完成させるコースでのご参加です。
このコースは大体の予定の目安として、1日目で鍛金の基本である絞りの感覚をつかんで叩いて形をつくり、2日目で持ち手を作りリベットで固定、内側に錫を引いて銅の表面を燻して完成、としてます。

とはいえ、絞りって何?って所から始まりますのでなかなか最初は上手くいきません。ただ板を叩いて行くのではなく、3次曲面に外周の径を縮ませるように絞って叩いて行きます。
右手のハンマーを打つ動きと板をしっかり押さえつつ回転させていく左手のバランスが馴れないうちは難しいです。
みなさん、私がお手本でやるの見ると簡単そうに見えるのにやってみると全然出来ないとおっしゃります。私も数年前に初めて陶芸の電動ろくろを体験しましたが、同じ様に上手く出来なかった思いでがあります。

1日目は途中途中で私が修正しながらなんとかカップの形が出来、予定よりもペースが良かったので持ち手の制作まで少し入れました。

2日目で持ち手を完成させてリベットで固定させました。持ち手の形は割と自由に作っていただいております。
内側に錫を引き、全体を磨いて奇麗にした後に硫黄で燻して完成しました。

何名か鍛金で銅のマグカップを制作しましたが、皆さん思った以上に大変だった、とおっしゃいますが出来た時の喜びはそれ以上のものがあります。


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画像の左は奥様が1日コースで作られた銀製のお猪口です。銀は銅よりも柔らかく鍛金もし易いです。銀のお猪口でしたら、1日での完成が可能です。ただ、最近銀の値段が多少下がったとはいえ銅に比べると高いです。このお猪口の銀の材料費で4000円弱です。銀での制作をご希望される場合、当方に銀の在庫が無い場合もありますので事前にご相談くださいませ。
プロフィール

Kohei Yoshida

Author:Kohei Yoshida
金属工芸家
http://koheiyoshida.com/

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