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鍛金マグカップ②

マグカップを作ったみたい、というお問い合わせが多いのですが時間的に1日での制作は難しいと前回のエントリーで書きました。鍛金、1枚の板から叩くと厳しいのですが1日で制作をしたい、という方も多いので少し工夫して1日で完成させられる方法を考えてみました。

この方法は、1枚の板から叩いて作るのではなく溶接を使いカップの形を作ります。デパートなどで売られている銅やチタンのカップなども、同じ様に作られているものも多くあります。ですが、物の魅力としてはやはり1枚の板から叩いて作った物の方があります。

今回も写真にあわせて説明していきます。



IMG_3927.jpg

銅板を写真の様な形に切り出します。カップの展開図になっています。カットは金属ハサミや糸鋸で行います。その後、前回のカップの時と同じ様に焼き鈍しと酸洗いを行います。


IMG_3928.jpg

酸洗い後、水で洗い水分を良く乾かし銅の板を曲げます。この時は正円形ではなく、溶接し易い様に写真の様に曲げて接合面をぴったりと合わせます。


IMG_3929.jpg

溶接します。溶接の行程は初心者の方には無理ですので、こちらせ行います。


IMG_3931.jpg

無理矢理写真を撮りましたが、このように溶接時はかなり光ります。溶接面をしないと見られません。


IMG_3932.jpg

溶接が完了しました。酸洗いしてあります。
まずは金鎚で溶接個所を叩いてしめます。その後焼き鈍しと酸洗いを行います。


IMG_3933.jpg

当て金に合わせ、木槌で叩いてあげて正円の形にしていきます。硬くなったら焼き鈍しと酸洗いです。


IMG_3934.jpg

大体、正円になってきました。


IMG_3935.jpg

今度は金鎚で叩いてハンマートーンを付けつつ、銅板をしめて硬くして行きます。全面に奇麗に打って行きます。


IMG_3936.jpg

その後、底を別の板から切り出します。


IMG_3937.jpg

今度は底を溶接して付けます。


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溶接個所を奇麗にヤスリ掛けします。溶接目を残すのは工業製品の鉄、ステンレス、アルミで、工芸品として銅や真鍮の物は必ず溶接目を奇麗に仕上げます。工業製品と工芸品の違いです。銅や真鍮の溶接目を見た事がある方はおそらく相当少ないと思います。


IMG_3939.jpg

ここからは1枚絞りの鍛金マグカップと同じです。持ち手になるパーツを作り、リベットで固定します。
その後内側に錫を引きます。そして硫化で仕上げます。


IMG_3941.jpg

完成です。1枚の板を叩いて制作するのよりは短時間で出来ますが、時間的にけっこう忙しいです。

上にも書きましたが、銅でマグカップ作るのでしたら1枚の板から叩いて作る方が珍しい経験が出来ると言えます。
品物としても、溶接の継ぎ目のない1枚絞りのカップの方が価値があると言えます。デパートで売られても、金額が違います。

こちらの1日でのマグカップ作りは、時間の関係からこの形に統一させていただきます。
材料費は3000円となります。

金工教室についての詳細はこちらをご覧下さいませ。


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鍛金マグカップ

最近、銅のマグカップ制作体験のお問い合わせを沢山いただきます。
不思議に思っていたらタレントの嵐の大野さんがテレビで鍛金でマグカップを作る番組を放送していたと聞きました。
お問い合わせも非常に多いので、銅のマグカップ制作について書いてみます。

まず、正直な事を申しますと鍛金、つまり1枚の銅板を叩いてマグカップを制作するのは初心者の方ですと1日では難しいです。理由として、叩いて絞って形を作る訳ですが、まず絞り、というものに馴れなくてはなりません。ただ銅の板を叩いている訳ではなく、3次曲面に変形させつつ叩きます。そして持ち手という別の造形が必要なのと、銅の製品は内側に錫を引くのが本来の姿です。叩いて形を作るだけでなく、行程は割と多いです。
今回、サンプルのカップを作ってみましたがかなり簡単な作りにしても2日は時間を必要とします。丁寧に良い物を作るとなると更に時間が欲しい所です。画像に合わせて説明していきます。



IMG_3884.jpg
今回は16センチ角、厚さ1ミリに銅板を使用します。対角線を引いて中心を出し、内接する円を針でけがきます。


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金切りバサミで銅板を円形に切り出します。この時、8角形に角を先に切っておくと円に切り易いです。


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直径16センチの円形に切れました。切った所を軽くヤスリ掛けしておきます。


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銅板を約700℃の熱で熱します。こうする事で銅が柔らかくなります。これを焼きなましといいます。
焼きなました銅板は、金鎚で叩いたり圧延したりすることでまた硬くなります。硬くなったら再度焼きなましを行います。


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焼きなましをすると表面が黒く酸化します。希硫酸に数分ひたしてその酸化膜を取り除きます。


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ここから叩く行程に入ります。まずは臼に銅板を乗せ木槌でたたいでドーム状の形にします。銅板が焼きなましてあるので柔らかく、ぺこぺこと変形して行きます。焼きなましをしてないとこうなりません。


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平らな板がドーム状になりました。木槌で叩いただけですが、銅の分子がしまってまた銅が硬くなってます。ここでまた焼きなまし、酸洗いを行います。


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酸洗い後、水気をよく取りペンで同心円を書きます。底の直径を5センチにしました。立ち上げる所から線に沿って金鎚で絞って行きます。金鎚も、大工さんが釘を打つものではなく絞り専用の金鎚です。


IMG_3895.jpg
説明が難しいのですが、叩いて曲げるのではなく、絞る、という叩き方です。


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当て金という鉄の道具を使って絞ります。この道具も形にあわせて沢山必要になります。


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当て金と銅板が接している所、接しておらず空間がある所が出来る様に持ち、その空間をなくす様に叩いて行きます。


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中央から外側へ、一通り絞った所です。叩く前より少し深くなったのがわかりますでしょうか?これを絞りと言います。
また焼きなましと酸洗いを行い、これを繰り返し行います。そうする事ですこしづつ1枚の銅板がカップ状になって行きます。



IMG_3899.jpg
おおざっぱに数えたのですが、1回の行程で約1000回弱叩いてました。完成まで1万回くらいは叩くのでしょうか。


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再度焼きなまし、酸洗いを行い2回目の絞りをした所です。先ほどよりも更に深い形状になってます。口の部分の大きさがどんどん小さく絞られていくので絞りといいます。1回の行程で絞れるのは1センチちょっと、という感じです。


IMG_3901.jpg
更にどんどん叩いて絞って行きます。


IMG_3902.jpg
4回ほど絞ってこれくらいになりました。最初は変化が大きいのですが、この辺りになると絞れる量が少なくなって来ます。


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6回ほど絞ってこの行程は完了にしました。底を平にし、定盤の上で口の水平レベルを出してけがきます。


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けがいたラインを金切りバサミで切ります。


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ハサミで切った所にヤスリ掛けをして奇麗にします。


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カップの部分が出来上がりました。


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次は持ち手を作ります。厚さ3ミリ、幅1センチの銅を用意しました。
画像がないのですが、同じ様に焼きなましをして柔らかくして酸洗いをして曲げて持ち手の形にしました。


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それをカップにリベットで固定します。ここまで来るとマグカップらしくなってきました。


IMG_3912.jpg
リベットはこんな感じです。穴を開けてカシメて固定します。


IMG_3913.jpg
内側に錫を引きます。
写真を撮りたかったのですが、1人だと手が離せない行程なので撮れませんでした。
錫引き用のフラックスを内側に塗り、カップをトロ火でで熱します。そこに錫の破片を入れ、溶けた錫を綿で薄くのばしていきます。錫の融点は238℃と低いです。が、天ぷらをする時の油の温度よりは高いです。錫引きをした銅鍋でも天ぷらは可能です。
銅製品は、中に飲み物をそのまま入れると銅の味が飲み物に移ってしまいます。また銅鍋は翌日まで置いておくと緑青がわいたりします。それを防ぐ為に内側に錫を引くのが一般的です。カップや鍋、フライパンで錫が引いてない銅製品は絶対にオススメしません。ちなみに、緑青は昔は猛毒といわれてましたが研究で緑青は毒ではない事が証明されてます。


IMG_3915.jpg
はみ出した錫を取り除き、銅の表面を硫黄で反応させて皮膜を作ります。そうする事で銅の空気中での変色を押さえ、また見た目もよくなります。
これは硫黄の薬品は以前は入浴剤として売られていた物なのですが、今は製造が中止になってしまいました。


IMG_3916.jpg
完成です。
硫黄で反応させ、こんな色になりました。内側の錫の色と銅の色のコントラストがとても奇麗です。

銅のカップなので熱い物は持てなくなるので入れられませんが、アイスコーヒーやビールなどぴったりです。某珈琲屋さんではアイスコーヒーは銅製のカップに入れて出されますね。暑い夏にぴったりです。

普通の食器用中性洗剤で洗えます。その後、よく水気をお切りください。


このサイズのカップで、鍛金を初めてやられる方で最低2日かかると思います。デザインやハンマートーンの付け方などにこだわりますと更に時間がかかります。が、一生物のオリジナルカップが作れるのでとても楽しい物です。

材料費ですが、このカップですと2,000円とさせていただきます。使用するサイズによって材料費は変って来ます。

金工教室の参加費等については、こちらをごらんくださいませ。


プロフィール

Kohei Yoshida

Author:Kohei Yoshida
金属工芸家
http://koheiyoshida.com/

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