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ソケット式当て金

kito1.jpg

 安城市でからくり人形の世界を見て、その後に鬼頭先生を訪ねました。

 鬼頭先生は大学のOBで愛知に工房を構えており、鍛金をより身近に出来る様に「当て金」を独自に開発していらっしゃいます。(現在、HPはmobile meの終了に伴い工事中の様です)

 当て金は、鍛金をするのに非常に重要な道具であり、作る形に合わせてそれぞれ必要な当て金が異なり、沢山の数が必要になってきます。ですが、固い炭素鋼を真っ赤にして叩いて曲げて作る当て金は作るのも大変ですし、作る形事に毎回新しい当て金が欲しくなる位数が必要です。これが鍛金が彫金に比べて一般的にならない理由の一つだと思います。

 鬼頭先生は、それを解消すべくソケット式の当て金を開発しました。上の写真がそれです。
当て金の本体に様々な鏡の部分が差し替えて使う事が出来る、非常に便利な道具です。

 ちょうど10年前、まだ学生だった時にこの当て金の存在を耳にして同級生と留学しに来ていた友人と3人で鬼頭先生の所を訪問しました。当時はまだ鉄の棒材を旋盤で加工して鏡の所を固定する使用でしたが、近年のものは更に開発が進み鋳鉄のボディーとなってました。更に、小さいサイズのものも出来てました。卓上にボルトで固定してちょっとした作業にも便利そうです。
 絞るときは強く叩くので、本来の炭素鋼を鍛造して作った当て金がよいとされてきましたが、上にも書いた様に作る事が本当に大変です。昔からある作り方じゃないと使えないのではないか、と言う人もいるのですが、私も自分で作った物を使う限り特に問題はありません。鉄をガンガン叩く場合や、鏡を固定するボルト部分が邪魔になってしまう場合を除けば非常に便利です。それ以上に、溶接の発達により簡単に必要な鏡をシャフトに付けて当て金に出来る便利さに注目すべきだと思います。グラインダーと溶接機があれば簡単に作れます。

 昔からある道具にはちゃんと理に適った理由があるのは間違いないのですが、それとはまた別に作る事を簡単に楽しむ事を感じさせてくれる道具です。

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金沢 卯辰山工芸工房

utatuyama1.jpg
 
 友人と金沢に行ってきました。

 目的はいろいろあったのですが、その一つが金沢の卯辰山工芸工房を訪ねてみる、でした。
 http://www.utatsu-craft.gr.jp/index.html
 
 卯辰山工芸工房の事を初めて知ったのは、数年前に大学の先輩がそこに在籍をした事がきっかけだったのですがあまり詳しい情報を知らなかったのでよく分らずにいました。最近、インターネットでここに在籍してる、していた方と交流があったり、ここに籍を置いていた先輩と久しぶりにあったりして話を聞いて、一回行ってみたいと思っていました。

 金工だけでなく、陶器や漆などの工房もあると聞いていたので、最初は工房群みたいな場所が金沢にある、というイメージを持っていました。実際に行ってみると、金沢市が運営している観光施設を兼ねた工芸の研修施設でした。りっぱな建物に大きなギャラリーがあり、そのとなりに金工、陶芸、漆、染色、ガラスの工房があります。普段は観光施設でお金を払って中のギャラリーを見られるのですが、副館長さんを紹介して頂いていたので金工の工房の中までみさせて頂けました。奇遇なのですが、副館長の村上さんも淡水翁賞の受賞者で、文化庁の在外研修でイタリアに行った経歴の方でした。

 金沢100周年の事業の一環で、加賀藩御細工所で行われていた事を元に作られた工房だそうです。ギャラリーには金沢に伝わるそれらの工芸品が沢山列べられていました。金工は、加賀象嵌された鐙が有名だそうです。漆も輪島が有名ですし、加賀友禅、九谷焼と元々有名な分野に新らしく文化を築くためにガラスを加えたそうです。これまでにあるものだけでなく、新しく発展させることを考えているのが素敵です。この考え方がないと、新しい文化事業は始まらない訳ですので、非常に、重要であると思います。

 そして、金沢卯辰山工芸工房のコンセプトが「育てる」「見せる」「参加する」の3つだそうです。「育てる」が一番最初に来ているのがこれまた素晴らしく、任期がありますが希望者に工房を提供するだけでなく、研修者に毎月10万円のお金を出してます。また、自分の専門だけでなく工芸品のかかわる事、茶道や書道まで学ぶ場があるそうで技術だけでなく、工芸を取り巻く文化を学ぶ事が出来るすばらしい所でした。
 工房の設備もかなりしっかりしていて、不満はありませんでした。自分が学生だったときは専攻毎の壁が厚く、横のつながりや他の専攻の先生と交流をする機会はまったくありませんでしたが、卯辰山工房は学校らしさというか、工芸全体で学べる環境があってそれもまた素敵でした。最長3年間の研修が受けられるそうですが、もう一カ所、市ではないですが企業が協力して貸し出している工房もあるそうです。

 若い人が学校を出た後に制作をする場がまず無い事、が工芸では大きな問題となります。それと、学校で学んだ専門技術、知識だけでなくそれを仕事にする事を知る場所がありません。つまりこれは、学校を出てもそれだけでやっていけない、という事を意味してます。(では学校は何の為にあるのでしょうか?)
 
 卯辰山工芸工房を見て思い出したのが、イギリスSheffieldのassay officeが中心となってやっている、アーティストの為の工房郡、「Yorksher Are Space」の中にある「Starter Studio」です。
 Starter Studioは、学校を出た若い人達がスポンサーから工房を破格の安さで借りられ、技術はもちろん、ビジネスに必要な交渉手続きや売り込みの仕方まで勉強できる場所です。人を育てる事に真剣なのですよね。

 こういった場所が日本にもあったらなぁ、と思っていたのですがまさに卯辰山工芸工房がそれでした。なぜか、東京にはそういった場所がありません。残念です。




 実は初めて21世紀美術館にも行ってきましたが、言うまでもなくこちらも素敵な美術館でした。
 金沢は歴史のある街なので、それに合わせて美術館も旧い感じになってしまう事なく現代のものから伝統的なものまで幅広く展示をしていることで有名です。美術館の周りにあるちょっとしたオブジェも面白いです。建物も、外観の印象と中の迷路の様な感じ、なのに円形の部屋とかもあっていろんな作品の展示を考えてつくられているのがわかりました。

 うーん、同じ政令指定都市なのに金沢市に比べて川越市は文化芸術面の力の入れ方が桁違いに低いぞ、、、、、、

 金沢市の人口は46万人強。川越市は34.5万人。人口は、決定的な差がある程開いてはいないと思うのだけど。。
 
 ちょっといやらしいけのですけど、卯辰山工房にかかる費用をざっと考えてみると、

 35人の研修生に毎月10万円で一月に350万円
 工房の光熱費は施設の他に焼き物やガラスの竃がある事を考えると一月に300万円以上
 職員の人件費
 その他維持費
 
 と、みると一月に1000万円はかかっていて、年間では億のお金が使われている事になります。

 うーん、すごいぞ。凄過ぎるぞ。

 
 川越市の美術館は、昨年に収蔵された作品はすべて『寄贈』されたものだけですし、街中にある彫刻も全て『寄贈』されたものだそうで新しく何かをやるという事はないです。
 川越市立美術館の来場者数が22年度が87,000人、23年度が96,000人。
 金沢21世紀美術館は2004年の開館の年で1,570,000人。
 両方とも、公立の美術館。
 
 
 芸術文化への力の入れ方が違うのを目の当たりにして帰って来ました。
 
プロフィール

Kohei Yoshida

Author:Kohei Yoshida
金属工芸家
http://koheiyoshida.com/

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