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堀内政三先生胸像制作

忙しかった為にしばらく間が開いてしまいました。

昨年末は、以前私が在籍していたアトリエ、金属工房セブンポイントにて胸像制作のお手伝いをしてました。
セブンポイントの代表の岡島延峰さんが、巣鴨学園の前校長先生の堀内政三先生の胸像を制作していたのでそのお手伝いです。

デザインは話には聞いてましたが、よくある偉い先生の胸像ではなく、全校長先生がどんな人柄だったのか、を伝える為に両手に学校で生き生きとしている生徒を沢山手に抱えて見つめて微笑んでいる、というものでした。
私は出身者ではないので面識もなければお名前も存じ上げなかったのですが、お話に聞くと教育熱心でカリスマ校長先生として知られている方だったそうです。


制作は鋳造を基本に行いました。素材はブロンズです。
よくある胸像でしたら腕も身体と一体ですのでまとめて鋳造出来るのですが、今回は腕を出していたり、手の作りや首もと、子供達も沢山作るので幾つかの部分に分けて鋳造してそれを溶接したりして組み上げました。原型を作るだけでも大変なのですが、特に子供はその中で顔と手がまた別に作って組み立てる必要があり、部品数だけでも相当な数となりました。子供の数は全部で30人います。

写真を見ただけでは重さは分りませんが、胸像部分だけで100キロ以上の重さになります。
全体のパーツが仕上がり、仮組をして修正個所を直し、再度ばらしてから緑青を吹かせていきました。


日本で胸像、銅像というと正面を向いているだけのものが多いですが、海外に行きますとバリエーションの豊かさに驚きます。街中にある銅像ですらさまざまがポーズをとっていたりします。モデルとなる人がいて、「その人らしさ」をそれぞれ考えてポーズを決めて作られてます。
日本でも、例えば少年よ大志を抱けと言ったクラーク博士が遠くを指差しているポーズや、坂本龍馬が着物に片腕を入れながら大海原を見ているポーズなど、稀にその人らしさを感じさせる銅像がありますが、学校にある銅像や胸像になりますとどれも形式的で、ただあるだけ、というものが連想されます。
その人がどういう人で、どんな理想を持っていたのか、を表現するのが銅像や胸像の魅力だと思いました。
死後、教え子たちから胸像を造りたいと言われる事も校長先生としては嬉しいことかと想像します。
なかなか他にはない胸像が造れたと思います。

sugamo1.jpg

銘板は固定中の為にしばってあります。


sugamo2.jpg

緑青完成後。この後、ワックスを塗って光沢を出します。


sugamo3.jpg

組み立ててしまうと見えなくなってしまう手のひら。見えなくなってしまう所ですが、細部までしっかりと作ってあります。
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レリーフ原型制作

依頼されてレリーフの制作をしています。

まだ完成はしてないのですが、粘土原型は完成して今はブロンズに鋳造をしてもらっています。
最初は銅板打ち出しでの依頼でしたが、予算等の都合で鋳造になりました。

とあるご夫婦のレリーフで、サイズは縦700㎜横640㎜です。厚みはベースの板が20㎜、人体部分のトップまでがまた20㎜くらいです。
原型は、ID粘土で制作しました。自動車のボディの試作の時に使われたりする、茶色い粘土です。テレビ等で車のデザインの時にこれが使われているのがたまに映ったりします。常温ではそこそこの硬さがあるのですが、ドライヤー等で温めると柔らかくなります。あるて65というものを私は使ってます。

今回、このご夫婦の胸像をお借りしてそれを元にレリーフ原型を作ったのですが、胸像というのは実際の人間よりいろいろと誇張されていたりして、果たしてこれが本人に似ているのか?という所からのスタートでした。お写真がいただければ良かったのですが、ほぼ胸像からのトレースになりました。

レリーフはデッサン力が全て、と言っていいほど絵を描くのに似てます。粘土を持った所が落とす陰影で見て作って行きます。朝と夕方で光が変わると、陰影の見え方が変って作るのが困難になります。光の変化の少ない場所での制作が必要になります。私のアトリエはそうはいかないので、顔は朝から昼過ぎまでとし、夕方から夜は造形的に逃げ易い身体を制作してました。斜めから光があたった状態で見ると、立体感が奇麗に見えると思います。

真正面という依頼だったのですが、実は真正面というのはかなり難しいです。奥行きが出し難いので、ここもデッサン力が必要となってきます。

原型を依頼主にチェックしてもらいましたが、よく似ているという事ですんなりオッケーでした。
今月中にはブロンズで鋳造し、仕上げて完成する予定となっております。


maedaweb1.jpg
maedaweb2.jpg
maedaweb4.jpg
maedaweb3.jpg

Zippoケース制作

Zippoのケースをシルバーで作ってほしい、と依頼されて制作してみました。
完全にワンオフでの制作となります。容器で蓋の開け閉めや合わせの精度と固定、中身の出し入れなど、難しい個所が沢山あり、簡単なものならともかくきっちり作ろうと思うとなかなか難しいです。
ワックスで作るか、とも思ったのですが板材から作ってみました。

zippo1.jpg
まず、Zippoの本体の採寸をしっかり測定し、書き出しておきます。
それを基準に本体から作って行きますが、まず銀の板を芋鎚で叩いてテクスチャーを着けます。銀は1㎜厚の925で制作をします。


zippo2.jpg
叩いて焼きなましを行い、酸洗いをした後に平にしました。カバー本体はL字に曲げた板をロウ付けして作って行きます。


zippo3.jpg
銀の板をL字に曲げました。
ヒンジになる部分に銀板1枚分の厚みを足します。画像ではマスキングテープで本体に貼付けてあります。この分がないと、後から蝶番をつけるスペースがなくなってしまいます。


zippo4.jpg
寸法に気をつけながらヤスリ掛けをして、ロウ付けする個所を丁寧に合わせます。ここの合わせの精度はかなり重要です。


zippo5.jpg
90度になる様にロウ付けをする訳ですが、この様な治具を使います。これを使う事で90度の角合わせがちゃんと行えます。治具のV字の中央は、ロウ目と治具が接しない様に丸くくり抜かれてます。こうしないと銀ロウが流れて鉄の治具とくっついてしまう恐れがあるのと、ロウ付けしたい本体に熱が行き易くする意味があります。


zippo6.jpg
カバー本体のカーブがある面を作るのに簡単な当てがねも作りました。これとは別に、木を削って曲面の雌型になるカーブの凹みも作りました。作る形に応じて専用に色々と作る必要があります。


zippo7.jpg
カバー本体と底をロウ付けした後、同じ要領で蓋を作って行きます。


zippo8.jpg
蝶番になるパーツです。ここの形状は蓋の開け閉めの要になるので、しっかり採寸して作らなくてはなりません。Zippo本体が、オイルかガスかによってとかで個体差があるようです。全てのZippoが同じではないので注意が必要です。


zippo9.jpg
糸鋸でパイプの部分を丁寧にカットし、2つのパーツを合わせます。蝶番の軸だけはステンレスの直径1.2ミリの丸棒を使います。稼働がスムースか、変な捻れがないか、よく確認します。変な感じがしたら作り直しです。このステンレスのピンですが、はまっているだけでかしめたりはしません。ケースの本体と蓋に入れた蝶番のパイプの入る切れ込みにぴったり納める事でピンが抜けない仕組みになってます。これはステンレス製のよくあるZippoケースもそうなってます。


zippo10.jpg
本体と蝶番はリベットで固定します。ここの固定方法は特に悩みました。ステンレスのZippoケースはスポット溶接でここを留めていますが、銀でロウ付け個所も多くあるので溶接が出来ません。銀は硬さも必要なので925で作って来ましたが、ピンの部分だけ純銀にしました。純銀の方が柔らかくかしめ易いからです。


zippo11.jpg
かしめた後に全体を磨いて完成です。
画像はありませんが、底に依頼主のお名前を鏨で掘りました。後、silverの刻印と私の刻印が打ってあります。
蝶番の動きやカチンと気持ちのよい音を立てて閉まる感じまで、しっかりと出来ました。

初めて作ったので、構造的な作りで途中かなり悩みました。一回失敗してみたり、後になってみるとそこはこういう仕組みになっていたのか、とかよく分りました。分ってみると簡単なのですが、シンプルな中に理に適った構造があってとても勉強になりました。ほんのちょっとした事だったりするのですけど、世界中で長く愛用されてる理由が分ったように思えます。


プロフィール

Kohei Yoshida

Author:Kohei Yoshida
金属工芸家
http://koheiyoshida.com/

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